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歴史が作ったアメリカのビジネス観(2) アメリカ人の働く価値観~なぜアメリカ人は短期指向で考えるのだろう?

Taka Muraji 村治孝浩

さて、前回はアメリカの建国の歴史が意外なところでアメリカ人の

ビジネスの価値観を形作っていた・・・と言う話題でした。

今回は、アメリカ人がどうしてこれほどまでに短期指向で物事を見つめるのか

と言うことについて考えてみましょう。


アメリカではビジネスもゴール設定は非常に短期です。

企業ではクォーターと呼ばれる四半期ごとに目標設定を行い

それに従って企業の業績観測も行われますが、

実はこの歴史的背景がこの短期的な目標設定を決定付けることになりました。


もうお分かりかと思いますが、ピルグリムファザーズたちが新大陸に到着して以降

戦わなければならなかったのは、「飢餓」と「苛酷な自然環境」でした。

迫り来る「冬」は決して待ってはくれません。しかも、確実に1年ごとにそれは

やってきます。豊富な資源や技術、知識を持ち合わせていなかった彼らにとって

状況を短期で見極め、一刻も早く結果を出す即断・即決が、不可欠です。

決断をすばやく出せなければ・・・結果は、目前に迫る「冬」という

魔物の手にかかってしまうわけですから。


こういう環境下でのサバイバルでは、「短期視点」に基づく「即決・即断」が

当然のごとく、社会のひとつの指針となりました。

これが、未だにアメリカの社会には脈々と息づいているのです。

一方、この価値観は、後の西部開拓の時代にも大きな威力を発揮しました。

220年後、アメリカはGo West!と言う掛け声の下に西部開拓を経験します。


この時も、状況は同じでした。まったく未知の西部の大陸に、

家族が自分たちの命と運命を賭けて旅立ったこの時代。

来年自分たちが生き延びている保障はどこにもありません。

ただ、そこで彼らが信じたのは「生きなければならない」と言う強い意志と

「成功」を信じるポジティブな態度でした。来年のことよりも、

3ヵ月後のことを考えて生きる。自分たちが生き延びることができる近未来に

目標設定を行い、自らを鼓舞する。


新大陸に到着したビルグリム、そして西部開拓の時代。

ともにアメリカ人が経験しなければならなかった過酷な自然環境化での

サバイバルが、「短期視点」という生き方そのものを培ったと言えるでしょう。

「短期ゴールを定め」「即決めて」「即動く」。

これはアメリカ人のDNAに深く埋め込まれた生存に対する

本能と言っても言い過ぎではありません。


翻って日本の場合。


長大な歴史を誇る日本では、その長い時間軸を基本に、

ある程度の予測は過去の経験から予測することができます。

当然、社会でも来年を見越して、そして3年後を見渡して

そして、さらに安定を確たるものにするためには10年後さえも視野に入れて

物事をプランすることが環境的に問題なく許されきました。

さらに、江戸時代に150年以上もの長きにわたって鎖国の中

社会が外的要素による変動の圧力にさらされる危険が少ない

と言う極めて長期安定的な社会を築き上げました。


この時に強固にされた日本社会の「長期安定志向」は

企業のゴール策定にも大きな影響を与えているに違いないのです。


アメリカの短期指向と日本の長期指向。

企業文化の違いのそこには、こういった歴史的な背景による

国民性の違いが大きな影を落としています。

 
 
 

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